「HAPPY HALLOWEEN?-2」


そして初めの対決で…今に至るわけで。先生1人を置いて、隠れ家を飛び出したカカシは、兼ねてから誰にも内緒で作っていた、自分の隠れ家にイルカを連れてきていた。
それは高い木の枝の根元に作られていて、普通の人間が入ってくることは出来ない。忍びであれば関係のない高さではあるが。
その隠れ家のあるすぐ下にある枝に着地すると、カカシは漸くイルカをよいせと下ろした。
「え?…わ、カカシ、これ…すっごーい!」
先ほど迄四代目がどうとかカカシの肩の上でぶーたれていたけれど、現金な子供らしく…カカシの野性味溢れる隠れ家を見て、イルカは嬉しそうに叫んだ。
「かっこいーかっこいい!これ全部カカシがつくったの!?」
「…うん、全部俺作です」
自慢げに胸をはっていうと、イルカはますますはしゃいで嬉しそうに小屋の中を覗いたりしている。
とてもちいさなそれはぎりぎり、一畳あるかないかで、高さもカカシの身長ぎりぎり位の小さな小屋だけれど、イルカと二人で過ごすくらいなら充分な広さだった。
「入ってイイよ?そのために連れてきたんだし」
そういうとイルカは目を輝かせて、大きな帽子を頭からむしり取り、頭を下げてその入り口を潜った。
「うわあ…」
適当に寄せ集めの木々を使って、木の上に組み立てた、本当に簡単なものだけれど…それなりに頑丈につくったつもりだ。
…二人だけの隠れ家にするために。
こっそり木全体を覆うように結界もはったから、誰にもここには入ってくることは出来ない。

これで…漸く、ふたりだけで…でゆっくりできる。
カカシも頭をかがめて入り、きょろきょろと見回すイルカにまあ座りなよと声を掛けた。
「すごいね、カカシ!こんなのつくっちゃうなんて…尊敬するよ俺!」
へへっと笑ってカカシを誉め倒すイルカにカカシは照れてしまうけれど、やっぱり好きな子に誉められて…嬉しくてそうかなあと笑う。
「…けど…四代目大丈夫かなあ…一緒にくればよかったのに…」

…え?
なんで先生がでてくんの?
カカシはイルカを見返して呆然とする。
もう二人きりであるというのに、イルカはまだ先生の話などをする。
なんでここまで連れてきたと思っているのだと、呆然としている間もイルカは楽しそうに先生の話をしているのだ。
「でも四代目にはここ、ちょっと小さいよね。頭打っちゃいそうだ!あはは!」
にこにこと笑って…そんなことをいうイルカがカカシには信じられない。
ふたりきりになりたくて連れてきたという意味が解らない程…イルカが無神経な子供でないことはカカシも良く知っている。

…楽しみに、イルカが来るのを待っていたのに。
どうしてこんな、いやな思いをしなければならないんだろう。

「…イルカは俺より、せんせいのがすきなんだ?」
憤りを覚えることさえ…拒否をした脳は…ぽろりとそんな音を口から零していた。
「…え?」
「俺がなんでここを作ったと思ってるの?」
「ちょ…カカシ…?」
「先生のがすきだから…どこいっても先生の話ばっかりするんだ。イルカは」
「え??な、何いってんだよ…!?ち、ちがうよっ、まってよカカシ!」
「俺なんかより、ずっと先生のがすきなんでしょ?あのときの言葉も俺をぬか喜びさせるためだったの?」
一度こぼれ出した言葉はずっと心に引っ掛かっていた、不安や不満をずるずると際限なく引きずり出してゆく。

違う、本当はこんなこといいたくないのに。せっかくの楽しい気分を台無しにしたくないのに。
そう思っても止まらない。
「お祭りだって…俺がこなくてよかったとか…おもってるんじゃ…」
途端べしりとはなっつらを、何かではたかれた。
「ばかっつ!」
びっくりしてイルカを見つめ返せば、イルカはむっつりとした頬袋をふくらました…ちょっと不細工な顔でカカシを睨み付けていた。
「四代目のおはなしをするのは…おれたちの共通した話題だからだろ!それ以外に他になにがあるっていうんだよ!」
「…え…?」
そんなことで?そんな気を使っていたのか?
「カカシは先生以外の話でもたいして…おもしろくもなさそうな顔するし!何話せばカカシが喜んでくれるか…ちっともわかんないし!」
「ちょ、ちょっとまって、イルカ…」

そんな顔、してもいないし!
おもしろくなさそうな顔をしたというのは、きっとイルカと仲良しの女の子の話とかを楽しそうに…された時くらいで、その他のは至極楽しく聞いていたというのに。
イルカの話はカカシには新鮮なことばかりで…とてもおもしろくて大好きなのに。
「待つか!馬鹿カシ!さっきおれがそういっても待たなかった癖にっ!」

いつのまにかすっかり立場が逆転している。
さっきまで怒って、いや攻めていたのは自分のはずなのに。
今度は言葉の変わりにか…貰った沢山のおやつがひゅんひゅんと飛んできた。
こいーんとあめ玉が額にクリーンヒットするけれど、それくらいでひるんでいてはイルカとは付き合えない。
「イルカ、ごめんって、ちゃんと聞くし、いうからっ!」
勢いは全く止まらないけれど、それでもカカシは声を高くして、ずっと心のなかに止めていたことを叫ぶ。

「だって、俺は先生に嫉妬してたから…っ!イルカが先生のほうがずっと好きなんじゃ無いかって…こわかったからっ!」

そうだ恐かったのだ、だから聞けなかったのだと。
飛んでくるものを避けながら、そう必死にさけべば、攻勢はぴたりと止まった。
…気が済んだのだろうか?でもこれくらいで?とお菓子が飛んできていた方向を恐る恐る見れば…ふにゅりと口を引き結んで、イルカは深く俯いていた。
「…イルカ…?」
恐る恐る、その腕をとったとき、ぼそぼそとした声が聞こえた。
「…だって…カカシとふたりきりだと…どきどきして…なに喋っていいかわかんなくなるってだけなのに…」
「…え…?」
「…俺はカカシが好きだよ!そりゃ四代目も大好きだけど…でもカカシが一番好きだっていってるだろ!?」
わからずや!とひとつ叫ぶと、腕を振払いイルカは再度大きな帽子を、まぶかく被ってカカシに背を向けてしまう。
「なんでそれを…疑われなきゃいけないんだよ…」
「…イルカ…」
「カカシのばか。あほっもう知らない!」

…すごく…うれしい。
面と向かって今迄イルカに聞いたことは一度として無かった。だって、本当は先生の方がすきだとかいわれたら…もう立ち直れない。
先生に負けない気持ちはあったけれど、やはり生徒の自分から見ても…先生は本当に凄い人で、この里の長であって、ともかくかっこいいのだ。…天然であっても。
だからカカシは何時だって不安なのだ。それをイルカは解っていない。自分は子供で、先生は大人。埋められない差があることも…どうしても仕方のないことだと知っているけれど、それでもやっぱりくやしいことに変わりはないのだ。
けれど、こうしてイルカはカカシを先生より好きだと宣言してくれた。
嬉しくてたまらない。
カカシはイルカを後ろからぎゅうと抱き締める。
ふたりの間を邪魔をする帽子を取り上げて、小さな部屋の隅へ投げて。
「うん、イルカ…俺もだいすきだよ…」
「…こんなこと言わせるなんて…やっぱりきらいだ、かかしなんかっ…」
うう、と唸って離れようとするイルカをやんわりと力を強めて、抱き締める。
この後に及んで、もぞもぞと抵抗して…そんなかわいらしくないことを言い出すイルカに、カカシはずっと前からしたいと思っていたことを、真っ赤になっている耳もとでささやいた。
「…じゃあ、キスしよう。…すきなら…恋人同士ならやれるでしょ?」
そういうとイルカは目を見開いて、こちらを振り向いてきた。
目は真ん丸でよほど驚いたらしいことがわかったけれど、こうなった以上…口から出してしまった以上…引けるモノでも無い。
「いや?俺とじゃできない?」
卑怯な聞き方をしているかもしれないけれど、カカシとしては今ここで証となるような『何か』が欲しかったのだ。
自分を一番好きだといった、イルカの…くれる確かな何かが。
だから…本当はずっと前からしてみたかったこと。キスを駄目元で、ねだってみたのだ。

ゆらりとイルカの瞳が不安げに揺れた。
恐らく…未知の領域が恐いのだろうとカカシは思う。
けれどカカシだってはじめてのことなのだ。ちょっと恐い所もあるけれど、ずっとイルカとしてみたいという気持ちが強かった。
まあ、ちょっと…いきなり過ぎたかとカカシは身を引こうとした。
けれど、イルカはそのカカシの腕をつかんで…恥ずかしそうに、ぽそりといった。

「…いいよ、かかしとなら…いいよ…?」
数秒間…言葉が出ない。けれど、その言葉はしっかりと脳に伝わった。
「…う…え…?ほ、ほんとうにいいの…?」
逆にオッケーを貰えて…うろたえるカカシだけれど、そのうれしいお許しに心は舞い上がった。
先生より、先に出来ちゃうよ…ざまーみろとか思ってしまう自分はちょっと情けないけれど、やっぱりライバルより先をこすことは子供にとっては重要なことだ。
カカシもはじめての体験の前に…胸がどくんどくんと早鐘をうつのが分った。
「いいよ、…すき、だから」
イルカは、目を閉じ、顎を上にあげた。カカシがキスをしやすいようにと。

…うわ…イルカ…まつげ意外とながい…。
目を瞑ったいつもと違う雰囲気のイルカに…どきりとして…さらに鼓動がはやくなる。
イルカの肩を抱いて…カカシは不安そうな表情で…待っているイルカにゆっくりと口付けた。
「ふ、…」
びくりと震えた肩にすこしの罪悪感を覚えたけれど、その弾力に触れた瞬間…あまりの心地よさにカカシは我を忘れた。
夢中で、自分のくちびるを…少し乾いていた、イルカの唇に押し付ける。
ふに、ふにとやわらかなそれを甘く食んだ。

あたたかく、やらわかい。
気持ちいい。

うっすらと目をあけると、目を閉じ、頬をすこし赤く染めた…口付けに夢中になっているイルカが見えた。

すごく、すごく、イルカかわいい。
離したく無い。
ずっと…ずっと…こうしていたい。

ただ、唇をくっつけあうだけなのに。どうしてこんなに気持ち良いのだろう。
カカシはうっとりと夢中で、イルカの唇を淡く吸ったり、舐めたりもした。
うまれてはじめてのキス…イルカのくちびるを味わった。
あまりに、夢中になるあまり、体重を掛け過ぎたのかイルカの身体がぐらりとかしぎ、後ろに倒れてしまった。
咄嗟に顔を離したから、なんとか歯をぶつけることも無く。
…甘いムードのままだったのは…実はカカシにとって不幸のはじまりだった。

この先はどうだっただろう?
心地よさから…ふとした疑問が心に浮かんで。
熱に浮かされたようにぼんやりとしているイルカがかわいくて、カカシはまた口付ける。
ける。
「かか…ん、ふ…」

あ、セックスだ。

…うん…好きあってるんだから…いいよね?もうちょっと…先迄。
もうちょっと。
だけ。

初めに思っていた、キスだけとかいう控えめなスキンシップ等何処かへと飛んでいってしまっていた。
まるで…戦場での血に酔った時の様に…ざわざわと体中が興奮しだしていた。
「え、かかし!?ちょっとやだ、どこさわって…」
カカシの手は、ゆるゆるとイルカの腰当たりを彷徨って、ここをさわればイルカが気持ちよくなるのだと薄っぺらい知識を総動員して…その股の間に滑り込んだ。


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…ブラウザ閉…