どこから情報が漏れたと言うのか。アメリカの目論見は総崩れである。
只単にイギリスに部屋に連れ込まれる日本を偶々、目撃したラトビアが半狂乱になりつつだれかーだれかーと叫び回り。
それを耳にした親日国はあっという間に武器を手に集まり。それにつられ、各国も集まり。日本救出隊が雪だるま式に増えていったと言うのが真実だったのだが、それを知り得る手段は今のアメリカにはない。
まさに各国乱れ入り。
わー愛されちゃってるねえ日本、なんて乾いた笑みで見つめるしかない。普段の彼なら突っ込んでいく場面ではあったのだが、今はそんな気も起きなかった。
「む、アメリカか!」
漸く、スイスがアメリカに気付いた。
「げ、美国っ」
「遅いぞ、貴様!日本の一番近くにいながら何をしている!」
「…え、や、ごめん、ごめーん!まさかイギリスが破廉恥なそんな行動に出るかと思わなくってさーほんと馬鹿は死んでも治らないって言うかさー」
焚き付けた本人は、既に当事者が伸びていることも手伝い、さらりとかわす。いや、例えイギリスに意識があったとしてもそう言い逃れていただろうが。
助け起こされた日本は沢山の国々に囲まれていて、近付けそうもないのが又なんとも哀しい。
「…あーあ…もう、なんだよ、たまんないよ」
ぼそりと呟いた嘆きは喧噪の中にあっという間に消えていく。
「?ぇー日本だいじょうぶ?怖かったよね?」
イタリアが労るようにして聞いてくる。
ついで口々に大丈夫か、といろいろな国が聞いてくる。
だが、各国に囲まれた当の日本は何が起ったのかさえよく把握出来ていないような状態だった。
あまりに突然のことだった為に。
おろおろとまわりを見回しつつも、なんだがすっかり悪者にされてしまっているイギリスの弁護をしなければと、日本は口を開く。
「いえ、その。イギリスさんは何も…あの…皆さんが思われているような事はなにひとつ…」
だが一瞬きょとりと目を見張った、周りに物凄い反論を食らうこととなった。
「日本!アヘンなんて庇わなくていいあへん!」
「そうですよ、酔っぱらって日本さんを連れ込むなんて最低なやつ!こんな日本さんの優しさにつけこむなんて…!」
「…そう、あいつ変態だから、日本こわかったでしょ…?」
「だしーあいつ酒飲んだらまじ、ちょーきもいし」
イギリスの日頃の行いが悪過ぎた為に、日本の言う事等誰一人としても聞いてはくれない。状況も状況だったと言える。
「え!?いや。あのっちょっと…」
さらに弁明を続けようとしたけれど、錯乱していると思われたのか、それともイギリスから引き離そうとする為か。
ぐいぐいと沢山の手に、部屋の外に押し出されてしまう。もう心配する事はないのだと謂れながら。
「ちょっと、皆さん、待って!」
だが、日本の声も空しく、扉はしっかりと閉められてしまった。
隙間から一瞬、ちらりと見えたぼさぼさの金の髪は、酷くくたびれて見えた。
大丈夫だろうかと思う前にギリシャに、背を抱かれ、先を促される。
「…」
「さ、いきましょう。日本にはしっかり休んで頂いて。馬鹿の処断はじっくり後で決めるとして」
ばたりと閉められてしまった戸を、振り向く事さえ出来ない。
けれど、興奮した皆をしっかりクールダウンさせ。説得しなければ、どうにもならないらしいことを悟った日本は、皆について歩き出す。
だが、その頬は限り無く赤かった。しまりのない顔をしていたかもしれない。
「…」
そう、本当のことを知っているのは日本だけ。
皆に引き剥がされながら、白いその頬が赤かったのを知っているのは、その本人だけ。
たった一人だった。
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