だって愛しい人の『おめでとう』は誰に言われたよりも、特別だから。
※※※
はたけカカシはうみのイルカに恋していた。
それはもう出会った時から、男に目は釘付けで周りなどまるで目に入らない程だった。
そう、一目で惚れていた。
柔らかに返される微笑みは、カカシの心臓に早鐘を打たせて。
いつもの自分ならば、任務ならば決してあり得ない現象に初めは驚き焦ったけれど。
二度目に会った時にはもうそれは確信に変わっていた。遠くから部下と共に近付いてくるカカシを認め、微笑んだその笑顔に。
どうしようもなく胸が高鳴ったのを、今でも良く覚えている。
自分はこの男にが惚れてしまったのだと。
自覚は早かったが、なかなか近付くことが出来なかった。
気持ちは逸ったが、それほどに親しくする切っ掛けもつかめず、たまに受付で部下の事をダシに少し会話をするくらいで。もっと親しくなりたかったけれど、近付く方法が見つからなくて、ただ遠巻きに見ているだけだった。
だが側にいたい、もっと話していたいと言う欲求は日に日に大きくなり。
とうとう七班の任務が終わった後の報告書を携えて差し出した時に、飲みにいきませんかと誘っていた。
多少驚いたような顔をしたものの…イルカはそれにあっさりと頷きいいですねと笑って応えてくれた。
それだけでもカカシは幸せだった。
だがそんなことを数度繰り返し行なう内にカカシは思い悩むこととなった。
いっそのこと告白してしまいたいと。
だがイルカはごくノーマルの男だ。きっと男からの告白などわずらわしく、気持ちの悪いものとしか映らないだろう。
嫌われるのは嫌だった。
けれどそれ以上に、ありもしない期待をもって…なにかないかと…下心をもって接するのは嫌だった。
そんな思いでイルカを汚したくは無かった。
それほどに惚れていた。
友人としての関係であれ、恋人と言う関係であれ。きちんと向き合って付合いたいと。
だからカカシは男らしくきっぱりと振られてしまえば、またすっきりと友達付き合いも出来るかも知れないと思ったのだ。今迄付合った女達とも良い関係が築けているのだからきっとイルカともそうなるだろうと、高をくくって…告白をすることにしたのだ。
イルカが頷いてくれるとは到底思えない。いや思わなかった。
成功する前からまるで諦めている節があるから…ただの自己満足でしたいだけなのかも知れない。
けれど…それでもこの気持ちを伝えたかった。
諦められるとは思わなかったが、友人としてこれからの長い間、笑いあって過ごしていけるならまたそれもよいと思ったのだ。
狂おしい恋愛など一度としてしたことがなかったからこのように思えたのかも知れない。
同性であったからこそ、そう思えたのかも知れない。
きっぱりと諦められるなど何故その時は思えたのだろうか。
後悔は先にたたず、後からじわりじわりと、窒息させるようにその想いを絞めていく。
これからに味わう苦しみも知らず、カカシはイルカにその想いを伝えた。
※※※
「いいですよ」
帰ってきた言葉にカカシは目をむいてイルカを見つめた。
続…