まだ朝も早い時間。イルカはぽかりと目を覚ました。
戦忍に時間などあまり関係ないが、里で暮らしていれば一般人と変わりない。当然ながら、規則正しい生活を送る事となる。
だが。イルカは今日は何ヶ月ぶりの午前休をとっており。出勤は遅い。だが、習慣というものは恐ろしいもので、目を覚ましたという訳だ。
けれど、不思議な事にそれはいつもの起床の時間でもなく、さらに早い時間だった。
「…はえーなあ…おい」
やはり寝たりないのは確からしく、目がしょぼしょぼしている。昨夜も遅い時間に眠ったから当然なのだが。
いや、とっくに日など変わった時間だったように思うから、寝ていてもせいぜい2時間と言ったところだろう。
目を擦るとようやく視界がはっきりしてくる。
隣からすうすうと規則正しく聞こえてくる寝息。
ちらりとそちらを見やれば気持ち良さそうに眠っている。
奇麗な銀の長いまつげは動く事はない。
昨日の今日なのだ。何より、昨日とて日の終わり近くまで任務をこなしていた。自分などより遥かに身体的疲労は凄い凄いだろう。
静かにして、起こさないように気をつけなければ。
ゆっくりと身を沈め、元の位置に体を戻す。
まだ少し肌寒い。
裸であるのだからそれも当たり前なのだが。
温もりを求めて、細心の注意を払いながらすり寄れば、カカシもこちらに少し身をよせた。
カカシも寒いのだろうかと、布団を持ち上げて肩までかけてやる。後は体温だけでなんとかなる。
大分近くなった顔を寄せて、じっとカカシの顔を見つめた。
きれいな顔。
自分とは大違いの、整った美しい顔だ。別に卑下する訳でもないが、一般的な評価からすれば上の方ではないだろうことは理解しているつもりだ。
女性なんてより取りみどりな人が…どうして俺なんかで良かったんだかと今でも疑問なのだが、カカシがいいならそれでいいので深くは追求しない事にしている。
そもそもこれはすでになんどもやり合った議題だった。しかも大抵言いくるめられて終わる。
すうすうと規則正しい寝息は途絶えることはない。完全にに警戒をといているその姿にイルカは確かな満足を覚えるけれど、その反面日頃の任務の過酷さを予想し、心配してしまう。
任務でもきちんと眠れているのだろうか?
カカシは里でも優秀で、ベテランの上忍だ。限界まで体を酷使するのは常であっても、最低限の体の休め方など熟知しているだろう。
一介の中忍が心配するようなことでもないかもしれない。けれど、恋人の体調を気にかけるのは別におかしなことではあるまい。
そういえば。こうして、朝になるまで一緒に寝ている事も随分と前だったような気がする。
前から一年以上立っているような気も…する。
出会ってから、こういった関係になるまで時間も随分かかった。
男同士なのだから当然だ。
いくら忍び同士とはいってもやはり生産性のない関係にはなかなか踏み切れない。ましてや初めはカカシから嫌われているのだろうと思っていたくらいだったのに。
いや、こちらが嫌っていたといってもおかしくはない。
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